技術トレンドキーワード

共創提案!スポーツテック×光学薄膜

― 競技の未来を、光で変える ―

スポーツは、常に進化を続けています。用具の軽量化、素材の高強度化、データ解析によるフォーム最適化、ウェアの高機能化――。競技力向上のための技術革新は、今やトップアスリートだけでなく、あらゆる競技現場に広がっています。近年では、センサー技術やAI解析の進展により、スポーツは「感覚」から「科学」へと大きく舵を切りました。しかし、その根幹を支えているのは、実は“光”です。視認性、トラッキング、センシング、演出。あらゆる場面で光情報が活用され、その精度や快適性を左右しているのが光学薄膜技術です。

そして今、この「光を制御する技術」が、スポーツの新たな可能性を切り拓こうとしています。単なるコーティングではなく、波長を選別し、反射を制御し、不要光を遮断する高度な分光設計技術。それは、アスリートの判断力を高め、センサー精度を向上させ、競技環境そのものを最適化する基盤技術でもあります。

安達新産業株式会社は、光学薄膜技術を核に、設計段階からの技術提案・材料選定・成膜プロセス最適化まで一貫して支援する共創パートナーです。私たちは、部材供給にとどまらず、“競技力向上”という明確な目的に対して光学技術で応える存在として、新しいスポーツの未来を提案していきます。スポーツと光学薄膜の融合は、まだ始まったばかりです。

アスリートのパフォーマンス向上 × 光学薄膜

スポーツにおいて「視覚」は、最も重要な感覚情報のひとつです。ボールの軌道、相手の動き、地面の凹凸、距離感、速度感。これらの判断はすべて光情報に依存しています。しかし屋外競技環境では、太陽光の高輝度成分(特に短波長側の強い散乱)、路面・水面・雪面からの反射グレア、紫外線による視認性低下や疲労、逆光条件下でのコントラスト低下といった「不要光」が、判断精度を低下させます。ここで重要になるのが、分光制御を伴う光学多層膜技術です。

■ 分光制御によるコントラスト最適化

光学薄膜は、単なる着色ではありません。干渉原理に基づく多層膜設計により、

・特定波長域のみを選択的に反射
・特定波長域のみを透過
・透過率スペクトルの傾斜設計
・入射角依存性を考慮した設計最適化

が可能です。例えば、青色散乱成分(〜450nm付近)を緩やかに抑制したいとか可視中域(500〜600nm)の透過率を高める赤系のコントラストを強調する設計など、競技特性に応じたスペクトル設計が可能です。これにより、

✔ 芝生上での白球視認性向上
✔ 雪面での凹凸コントラスト向上
✔ 逆光条件下での被写体抽出性能向上

といった効果が期待できます。

■ グレア制御と反射マネジメント― 入射角と偏光を制御する高度な分光設計 ―

強い表面反射は、単なる“まぶしさ”ではなく、視覚情報のS/N比を低下させる光学的ノイズです。特に屋外スポーツ環境では、太陽光という広帯域・高強度光源が存在し、さらに水面・路面・雪面などからの鏡面反射や散乱光が重畳します。これらの不要光は、コントラスト低下、視認遅延、眼精疲労を引き起こし、結果として判断精度に影響を与えます。この課題に対し、光学薄膜は干渉原理に基づく反射スペクトル制御技術によってアプローチします。

● 広帯域AR(Anti-Reflection)設計の高度化

単層のλ/4膜では、特定波長でのみ反射を最小化できますが、実際の競技環境は広帯域可視光(約400〜700nm)にわたります。そのため、

★高屈折率層/低屈折率層の多層積層設計
★光学アドミタンスマッチング最適化
★分光反射率のフラット化設計

により、広帯域かつ低反射率(例:平均反射率0.7%以下)を実現します。さらに基材(ポリカーボネートなど)の屈折率との整合設計が不可欠であり、基材分散特性を含めた最適化が求められます。

● 低角度入射光への対応(斜入射設計)

水上競技や自転車競技では、太陽高度が低い時間帯において**大きな入射角(例:40°〜70°)**の光が直接視野に入ります。干渉膜では、入射角θが増加すると有効光学厚みが変化し、透過・反射スペクトルは短波長側へシフトします。このため、

✔ 想定入射角分布を事前に定義
✔ 有効角度域での反射率最小化設計
✔ 実使用条件に基づく角度平均スペクトル評価

が重要になります。単なる「正入射(0°)」設計では、実環境では性能を発揮できません。競技用アイウェアでは、角度依存スペクトルを前提とした干渉設計が不可欠です。

■偏光特性の制御

反射光は、入射条件によりs偏光(電場が入射面に垂直)とp偏光(入射面に平行)で反射率が異なります。特に斜入射では両者の差が顕著になります。例えば、ブリュースター角付近ではp偏光の反射率が低下する一方、s偏光は依然として高い反射率を持ちます。水面反射光は偏光成分を多く含むため、

✔偏光特性を考慮した多層膜設計
✔偏光依存反射率差の最小化
✔必要に応じた偏光制御膜との組み合わせ

といった設計がグレア抑制に有効です。競技特性に応じて、偏光を均一化する設計や、特定偏光成分を選択的に抑制する設計など、用途最適化が可能です。

データスポーツ × 光学フィルター― センサー精度を決定づける「不要光の除去技術」 ―

近年のスポーツは、経験や感覚に頼る世界から、データによって解析・最適化される世界へと急速に移行しています。モーションキャプチャによる動作解析、AIを活用したフォーム診断、トラッキングカメラによる位置情報取得、さらにはウェアラブルデバイスによる生体情報の常時計測など、競技現場には多様な光学センサーが導入されています。しかし、これらの計測精度を根本的に左右しているのは、センサー素子そのものだけではありません。実は、その前段に配置される光学フィルターの設計こそが、データの質を決定づける重要な要素となっています。

■ バンドパスフィルターによる高S/N化

屋外スポーツ環境では、太陽光という広帯域かつ高強度の光源が常に存在しています。センサーが例えば850nmや940nmといった近赤外波長を検出対象としていても、可視光成分や広帯域の近赤外ノイズ、さらには時間帯や天候によって変動する環境光が重なり合い、信号の純度を低下させます。この「不要光」がセンサーのバックグラウンドノイズとなり、微弱な変化の検出を困難にしてしまうのです。

この課題を解決するのが、干渉原理を応用した狭帯域バンドパスフィルターです。透過帯域を例えば850±10nmのように精密に設計し、それ以外の波長域を高い光学濃度(OD4〜OD6レベル)で遮断することで、検出対象波長のみを選択的に抽出することが可能になります。400〜800nmの可視光や、透過帯域外の近赤外成分を強力に抑制することで、センサーに入力される信号の純度は大きく向上し、結果としてS/N比を飛躍的に改善することができます。

■ 入射角と小型化への対応

さらに重要なのが、角度依存性への対応です。特にウェアラブル機器や小型カメラモジュールでは、広角入射光や斜入射光が避けられません。干渉フィルターは入射角が大きくなると透過中心波長が短波長側へシフトする特性を持つため、設計段階で実際の入射角分布を想定する必要があります。単に正入射条件で最適化されたフィルターでは、実使用時に透過ピークがずれ、検出精度が低下する可能性があります。

そのため、角度分布を考慮した中心波長の事前補正や、有効開口内での膜厚均一性管理、多層膜構成の最適化が不可欠となります。特に小型化が進むセンサーでは、光学系設計と薄膜設計を分離して考えることはできません。レンズ特性、F値、入射角分布といった光学パラメータを踏まえた統合設計が求められます。

今後、スポーツ分野ではARグラスによるリアルタイム情報表示、フィールド内赤外トラッキングシステム、生体発光マーカー検出技術、さらにはリアルタイム生体モニタリングデバイスなどの高度化が進むと想定されます。これらはすべて、精密な波長選択と不要光除去を前提とした分光制御技術の上に成り立つ世界です。データスポーツの進化は、センサー素子の高性能化だけでは実現しません。本質は、「どの光を通し、どの光を遮るか」という光の選別技術にあります。光学フィルターは、スポーツデータの“精度の土台”を支える中核技術なのです。

バイオセンシングとの融合― 光学フィルターとパターン加工による高精度センシング基盤 ―

スポーツ分野では、アスリートのコンディションをリアルタイムで把握するためのバイオセンシング技術が急速に発展しています。近赤外光(NIR)を利用した光学センシングはその代表的な手法であり、血流変化や酸素飽和度のモニタリング、乳酸濃度の推定、さらには発汗成分の分析など、さまざまな生体情報の取得に活用されています。トレーニングの最適化や疲労管理、パフォーマンス分析の高度化に向けて、こうした光学ベースのセンシング技術は今後ますます重要性を増していくと考えられます。

このようなセンシングシステムにおいて、測定精度を大きく左右するのが光学フィルターによる分光制御です。屋外スポーツ環境では太陽光をはじめとする広帯域の環境光が常に存在するため、センサーが検出すべき波長のみを正確に取り出す必要があります。そのため、光学フィルターには高い透過性能と強力な帯域外遮断性能の両立が求められます。透過率が十分でなければ信号強度が不足し、逆に遮断性能が不十分であれば環境光ノイズが増加し、測定の信頼性が低下してしまいます。

バイオセンシング用光学フィルターでは、特に次のような性能設計が重要になります。

🟧高透過率設計(90%以上)

検出波長の光を効率よくセンサーへ導き、微弱信号でも安定した検出を可能にする。

🟧光源スペクトルとの整合設計

LEDの発光ピークとフィルター透過ピークを一致させ、検出効率を最大化する。

さらに実際のデバイス設計では、LEDの製造ばらつきや温度変化によるスペクトルシフトも考慮しながら、光源・フィルター・センサーを一体として最適化するトータル分光設計が重要になります。

一方、スポーツ分野のバイオセンシングでは、光学検出だけでなく電気化学センサーとの組み合わせも注目されています。例えば汗成分や代謝物の検出では、微小電流を高感度で読み取るための電極構造が必要となり、クシ形電極(インターデジタル電極)などの微細パターン加工技術が広く用いられています。電極間距離や電極形状を最適化することで、反応面積を拡大し、微量成分の検出感度を高めることが可能になります。このようなバイオセンサーでは、次のような技術要素が重要になります。

✨クシ形電極(インターデジタル電極)の微細パターン加工

電極間距離を制御し、高感度な電気化学測定を実現。

✨金属薄膜電極の高精度パターニング

安定した電気特性と再現性の高いセンサー構造を形成。

✨光学センシングとのハイブリッド設計

光学フィルターと電極構造を組み合わせ、多様な生体情報の取得を可能にする。

安達新産業では、こうした光学フィルターによる分光制御技術に加え、金属薄膜のパターン加工やクシ形電極形成といった微細加工技術の提案も可能です。光学センシングと電気化学センシングの双方を視野に入れたデバイス設計を支援することで、次世代スポーツバイオセンサーの開発に貢献します。光学フィルターとパターン加工技術を組み合わせることで、スポーツ分野におけるウェアラブルセンサーやコンディションモニタリングデバイスの可能性はさらに広がります。光と電極の両方を設計するというアプローチが、これからのスポーツバイオセンシングを支える重要な技術基盤となっていくでしょう。

未来のスポーツデバイスへ― 光の設計から、次世代競技を共に創る ―

これからのスポーツ分野では、光学技術を基盤とした新しいデバイスの実装が加速していくと考えられます。例えば、競技中にリアルタイムで情報を表示するARグラスにおける波長選択技術、フィールド全体で選手やボールを高精度に追跡する赤外トラッキングシステム、特定波長に応答する生体発光マーカーの検出、さらにはウェアラブル機器によるリアルタイム生体センシングなど、構想段階にある技術は数多く存在します。これらの技術に共通しているのは、「光をいかに正確に制御できるか」という点です。検出すべき信号だけを確実に取り出し、不要な光を徹底的に排除し、競技環境の変化に左右されない安定性を確保する。その根幹を支えているのが、高度な分光制御技術であり、光学薄膜技術です。

私たちは、スポーツ×光学薄膜の可能性はまだ十分に開拓されていないと考えています。光学薄膜は単なるコーティングではありません。それは、どの波長を通し、どの波長を遮断し、どの入射角でどのように振る舞わせ、どの環境条件下でも安定した性能を維持させるかを設計する“光のエンジニアリング”です。スポーツデバイスの高度化が進むほど、センサーや表示技術の差別化は分光設計の巧拙によって決まります。にもかかわらず、光学フィルターや多層膜設計は、まだ十分に戦略的活用が進んでいるとは言えません。だからこそ、私たちは呼びかけます。

✨新しい競技用デバイスを構想しているメーカー様。
✨次世代のウェアラブルを開発しているスタートアップ様。
✨トラッキングやセンシングの精度向上に課題を抱えている技術者の皆様。

そのアイデアに、光学薄膜という選択肢を加えてみませんか。安達新産業株式会社は、材料選定から分光設計、成膜プロセス最適化までを一体で提案できる共創パートナーです。仕様が固まった後の部材供給ではなく、構想段階から伴走し、「光でどこまで性能を引き上げられるか」を共に検討することができます。

未来のスポーツは、光の制御によってさらに進化します。その最前線を、私たちと一緒に創り上げていただけるパートナーを広く募集しています。スポーツの未来を、光で共創しませんか。