UVカットフィルター
- 紫外線のカット波長や傾き(カットオフ特性)を細かく指定したいが、既製品では合わない
- 可視光域での高透過率も両立したいが、希望通りの性能を持つフィルターが市場にない
- 数十枚〜数百枚などの少量生産を希望しても、量産前提の海外メーカーでは対応不可や高コストになる
- フィルターの外形サイズ、厚み、公差などを装置設計に合わせたい
- 量産時に透過率・カット特性のばらつきが出て製品歩留まりや性能に影響するのではないかと懸念している
解決!「UVカットフィルター」のチャート

匠のポイント
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紫外線を「光学的に制御」することで製品性能を守る――UVカットフィルター
UVカットフィルターとは、波長280〜400nm付近の紫外線を選択的に遮断し、可視光領域(約400〜700nm)を効率よく透過させる多層光学薄膜フィルターです。撮像素子(CMOSやCCD)は、可視光だけでなく紫外線にも感度を持つため、そのままでは以下のような問題が発生します。
✅紫外線による散乱光の増加によって画像のにじみや白飛びが起こる
✅可視域外の紫外線信号を取り込むことで色かぶりや色再現性の低下が生じる
✅紫外線がセンサー表面やレンズ樹脂部品を長期的に劣化・黄変させ、画質低下や寿命短縮を招くUVカットフィルターは、ガラスや樹脂基板の表面に数十層〜百層規模の誘電体多層膜(干渉膜)を成膜し、光の波長による干渉現象を利用して紫外線成分だけを効率的に反射・吸収し、可視光は高透過率で均一に透過させます。このとき重要となるのが
✅膜厚の均一性と設計精度による鋭いカット特性
✅可視光領域での高透過率(90%以上など)
✅光の入射角度に対する特性の安定性
✅長期環境耐性と密着性を考慮した膜材とプロセス選定こうした高度な光学設計・成膜技術により、UVカットフィルターは次のような価値を実現しています
✅ 不要な紫外線をカットし、センサー画像のにじみ・白飛びを低減
✅ 正確な可視光だけを取り込み、自然で忠実な色再現を確保
✅ 紫外線劣化から光学系やセンサーを守り、長期的な信頼性と耐久性を向上紫外線を「光学的に制御」することで製品性能を守る――それがUVカットフィルターの技術的役割であり、映像・センシング機器の品質を支える“見えない基盤技術”なのです。
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安達新産業が、日本国内生産に希望を持つ理由
✅ 高品質・安定供給
日本のものづくりは、厳しい品質基準と細やかな検査工程、トレーサビリティにより、世界でも高い信頼を築いてきました。お客様が求める再現性の高い性能と長期安定供給を両立できるのは、日本国内生産ならではの強みです。✅ 小ロット・多品種への柔軟対応
海外の大規模量産ラインでは対応が難しい、数十〜数百枚単位の試作や限定生産、特殊仕様なども、国内ならフットワーク軽く対応可能です。製品の多様化・短期開発が求められる今、小回りの利く生産体制は大きな価値となります。✅ 地政学的リスクの回避と安定調達
海外情勢や物流トラブル、パンデミックなどの影響により、突然納期が大幅にずれたり、供給が滞ったりするリスクが現実のものとなっています。国内での製造・在庫体制を持つことで、こうした外部要因の影響を最小化し、安定的にお客様へ供給できます。✅ 開発スピードの向上
設計・試作・評価を国内で一貫して行うことで、コミュニケーションのロスを減らし、開発リードタイムを大幅に短縮できます。特に市場投入スピードが競争力を左右する製品開発においては、大きなアドバンテージです。また、ご検討中のお客様に向け、すぐに評価可能な標準在庫フィルターをご用意しています。試作・検証期間の短縮、スピーディーな製品立ち上げにぜひご活用ください。✅ 安心感と価値の見える化
「国内で誰がどのように作っているのか」をお客様自身が把握できる安心感。製品の信頼性だけでなく、取引先やエンドユーザーへの説明責任にも応えられます。 -
ご要望の波長帯での設計・カスタマイズが可能
お客様のご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。透過域のみならず、阻止域での制御や入射角も重要な要素です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。
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部品形状対応も可能
基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。
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万全の品質保証体制
成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。
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安全・安心な製品設計
当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のUVカットフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。
用途例
UVカットフィルターは従来のデジタルカメラ・スマートフォンに加え、次のような用途で期待されています。
🟦車載カメラや監視カメラ:紫外線による画像劣化や樹脂レンズの劣化防止
🟦医療・ライフサイエンス機器:精密な色再現性や長期耐久性の向上
🟦AR/VRグラス・ディスプレイ:目への有害紫外線の低減と高画質両立
🟦産業用検査カメラ:紫外線ノイズの除去で測定精度を向上
🟦屋外用電子機器・IoTデバイス:長期間の信頼性を確保
特に小型化・薄型化・特殊形状など、カスタム対応が必要な市場で、国内生産への期待が高まっています。品質へのこだわり、安定供給、そして柔軟な対応という観点から、もう一度「日本でつくる」価値が見直され始めています。私たち安達新産業も、日本発のものづくりの灯を絶やさぬよう、開発・製造体制を整え、お客様のご要望に応えていきます。