問題解決

IRカットフィルター

  • 海外量産メーカーは数万〜数十万枚単位が前提。小ロットや試作品に対応してもらえない
  • 海外拠点での調達は輸送時間・調整コストが大きく、急ぎの試作や仕様変更に応えられない
  • 多層膜の厚み制御などで微妙なバラつきが出ると、最終製品の性能に影響するため困っている。
  • 標準仕様だけでは要件を満たせず、透過波長やカット特性を微調整したいのに、柔軟に相談できない。
  • 海外の情勢や物流の影響で納期が大幅にずれるリスクがあり、安定供給をどう確保するか悩んでいる。
解決!「IRカットフィルター」のチャート
※設計例であり、保障値ではありません。

匠のポイント

  • IRカットフィルターとは・・幅広い製品で活躍する「見えない立役者」

    IRカットフィルターは、カメラやイメージセンサーに届く光のうち、近赤外線(おおむね780nm〜1100nm付近)を効率的に遮断し、可視光だけを透過させる特殊な光学フィルターです。

    昨今の撮像素子(CMOSやCCD)は、人の目には見えない近赤外線にも高い感度を持っています。一面では高感度化に寄与しますが、そのまま使うと赤外線の影響で、
    ①色味が不自然になる「色かぶり」
    ②コントラストやシャープさが損なわれる「にじみ」
    ③黒つぶれ・白飛びなどの画像劣化
    といった問題が発生してしまいます。

    IRカットフィルターはこれらの課題を解決し、
    ✅自然な色再現
    ✅高精細でクリアな映像
    ✅人間の目に近い見え方
    を実現するために欠かせない部品です。産業用カメラやFAセンサには、ノイズとなる太陽光や蛍光灯照明を遮断する為にに使用されています。

  • 国内生産が減少した背景

    かつては、日本国内でも高い技術力と品質管理のもと、多くのIRカットフィルターが製造されていました。特にデジタルカメラやスマートフォンの黎明期には、国内メーカーによる精度の高い多層膜設計や成膜技術が大きな強みとなり、市場をリードしてきた歴史があります。

    しかし2000年代以降、スマートフォンやタブレットなど、世界的な需要が急拡大する中で、低コスト化と大量供給能力が最優先される時代へと変化しました。こうした中、大手メーカーは海外に大規模な量産拠点を設立し、生産コストを大幅に引き下げる戦略を選択。一方で国内では、新規の大規模設備投資や人材確保が難しく、高品質でも価格面で競争が難しい小規模設備では世界的需要に応えきれないという理由から、徐々に撤退を余儀なくされました。

    さらに、製造技術者の高齢化や後継者不足も深刻な課題となり、国内でIRカットフィルターを継続的に生産できるメーカーはごく一部に限られてしまいました。結果として、今では「国産IRカットフィルター」という選択肢そのものが市場からほとんど姿を消してしまったのが現状です。

  • それでも安達新産業が、日本国内生産に希望を持つ理由

    高品質・安定供給
    日本のものづくりは、厳しい品質基準と細やかな検査工程、トレーサビリティにより、世界でも高い信頼を築いてきました。お客様が求める再現性の高い性能と長期安定供給を両立できるのは、日本国内生産ならではの強みです。

    小ロット・多品種への柔軟対応
    海外の大規模量産ラインでは対応が難しい、数十〜数百枚単位の試作や限定生産、特殊仕様なども、国内ならフットワーク軽く対応可能です。製品の多様化・短期開発が求められる今、小回りの利く生産体制は大きな価値となります。

    地政学的リスクの回避と安定調達
    海外情勢や物流トラブル、パンデミックなどの影響により、突然納期が大幅にずれたり、供給が滞ったりするリスクが現実のものとなっています。国内での製造・在庫体制を持つことで、こうした外部要因の影響を最小化し、安定的にお客様へ供給できます。

    開発スピードの向上
    設計・試作・評価を国内で一貫して行うことで、コミュニケーションのロスを減らし、開発リードタイムを大幅に短縮できます。特に市場投入スピードが競争力を左右する製品開発においては、大きなアドバンテージです。また、ご検討中のお客様に向け、すぐに評価可能な標準在庫フィルターをご用意しています。試作・検証期間の短縮、スピーディーな製品立ち上げにぜひご活用ください。

    安心感と価値の見える化
    国内で誰がどのように作っているのか」をお客様自身が把握できる安心感。製品の信頼性だけでなく、取引先やエンドユーザーへの説明責任にも応えられます。

  • 開発段階での細かい仕様調整(ご要望に応じた設計・カスタマイズが可能です)。

    波長特性や外形・厚みなどの仕様を、お客様の要件に応じて柔軟に設計できることも国内生産ならではの強みです。お客様のご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。透過域のみならず、阻止域での制御や入射角も重要な要素です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。

  • 部品形状対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 万全の品質保証体制 

    成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。

  • 安全・安心な製品設計

    当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のIRカットフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。

 

用途例

✅ 新しいディスプレイ・AR/VRデバイス

AR(拡張現実)グラスやVR(仮想現実)ヘッドセットなどの次世代ディスプレイでは、「目に近い場所」で光を制御する技術が重要になります。

✅ 自動運転・ADAS(先進運転支援システム)向けカメラ

車載カメラは、昼夜・晴雨などあらゆる条件で安定した画像認識を必要とします。IRカットフィルターは、赤外線による誤検知やノイズを防ぎ、物体検出精度の向上に寄与します。特に電動車やロボタクシーの普及により、車載カメラ市場の拡大が見込まれる中で、今後需要がさらに伸びる分野です。

✅ 医療・ライフサイエンス用途

内視鏡や顕微鏡用カメラ、分析装置などで、可視域のみを高精度に透過させるIRカットフィルターは必須。医療機器の高解像度化や4K・8K対応が進むことで、より高精細・色再現性の高いフィルターが必要になります。

✅ FA・産業用カメラ/ロボットビジョン

工場内の外乱光(太陽光や赤外線)を除去し、正確な画像処理を行う用途も増加。特に高速検査ラインやロボットによるピッキングでは、ノイズを低減し画像解析精度を上げる目的で、IRカットフィルターが重要になります。

✅ セキュリティ・監視カメラ

夜間・昼間の切替を自動で行う「デイナイトカメラ」でもIRカットフィルターは必須。最近はAIによる顔認証・行動解析なども進んでおり、解析エンジンに正しい情報を入力するためのフィルターとして、高性能化の需要が期待されます。

日本のものづくりを考える。

IRカットフィルターは、ガラスや樹脂基板の表面に数十層〜百層近い極薄の光学薄膜を積層することで、狙った波長だけを精密にカットする高度な製品です。膜厚は数十nm〜数百nmという非常に薄い単位で管理され、膜の均一性や設計精度がわずかに崩れるだけで、透過率やカット特性が大きく変化してしまいます。高い技術力と緻密な品質管理があってこそ成り立つ、まさに「見えない技術の結晶」といえるのです。

「国内生産のIRカットフィルターを応援したい」
「日本のものづくりを支えたい」

そんなお客様のお気持ちが、私たちの挑戦を大きく後押ししてくれます。これからも安達新産業は、お客様とともに未来へつながる日本の製造業を築いていきたいと考えています。

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