ショートパスフィルター 波長:650nm
- 不要波長をしっかり遮断しつつ、必要波長はできるだけ高透過率を確保したい。
- 設計上、斜入射光でも性能が変わらないフィルターを求めている。
- 高温多湿など厳しい環境下での耐久性( 長期信頼性を考慮した膜設計や品質が必要)。
- 反射防止膜やバンドパスフィルターなどとの複合設計の相談もしたい。
- 装置やモジュールへの組込みしやすさ→ サイズ・形状など、カスタマイズ対応を相談したい。
解決!「ショートパスフィルター 波長:650nm」のチャート

匠のポイント
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可視光の赤色帯域を境に光をコントロール ─ 660nmショートパスフィルター
ショートパスフィルターは、設定したカットオン波長を境に、それより短波長側の光を高透過率で通し、長波長側の光を反射または吸収してカットする光学部品です。660nmショートパスフィルターは、特に可視光の赤色帯域(およそ660nm)を境目として、それより短波長側の青色・緑色・黄色などを透過させ、660nm以上の赤外寄りの赤色光や近赤外光を効率よく遮断します。
660nmショートパスフィルターは、多層の誘電体薄膜(高屈折率層と低屈折率層)を交互に数十層積層し、それぞれの層厚を光の波長の1/4などに精密に調整することで、干渉効果を利用して設計されています。この構造により、660nm以上の波長では反射率を高め、660nm未満の波長では高い透過率を確保することが可能です。その結果、660nm付近で透過率が急激に低下する急峻なカット特性、400〜650nmの可視光帯域で90%以上の高透過率、斜め入射光でも性能が変動しにくい角度依存性の低減、温度・湿度変化やUVによる劣化を抑える耐環境性の向上といった特長を実現しています。
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なぜ660nmか?
660nmは可視光の中で「深赤色」にあたる波長帯に位置し、以下の理由から特に重要です
①赤色LEDやレーザー光源の中心波長として利用される
→ この波長より短い可視光(青・緑・黄)を活かしつつ、赤色や近赤外の不要な光を遮断することで、検出系や撮像系のS/N比を改善できます。
②近赤外寄りの赤色光は、センサー感度やノイズの原因になりやすい
→ 多くの撮像素子(CMOSやCCD)は赤外領域にも感度を持つため、660nm以上の光を遮断することで誤検知を防ぎ、画像処理精度を向上。
③人の目の感度曲線(明所視曲線)と応用が合致
→ 約660nmより長波長側は人の目の感度が急速に低下するため、視覚的効果を損ねずに光学系の性能を最適化できる。つまり、660nmは「可視光として活用する帯域」と「近赤外として遮断する帯域」のちょうど分岐点にあり、多くの産業・医療・検査用途で最適なバランスを提供するカットオン波長として選ばれています。
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標準在庫品で開発をサポート
ご検討中のお客様に向け、すぐに評価可能な標準在庫フィルターをご用意しています。試作・検証期間の短縮、スピーディーな製品立ち上げにぜひご活用ください。
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基板に最適化した設計
お客様のご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。透過域のみならず、阻止域での制御や入射角も重要な要素です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。
ショートパスフィルターの性能を最大限に引き出すためには、基板材質や構造に応じた最適な成膜設計が欠かせません。当社では、ガラス・石英・サファイアなど多様な基板に対応し、それぞれの熱膨張係数や表面特性を考慮した薄膜設計を行っております。
- 角度依存に対する注意点※バンドパスフィルターのケースですがご参考まで
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部品形状対応も可能
基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。
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万全の品質保証体制
成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。赤外領域の分光特性測定が可能なFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を完備。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。
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安全・安心な製品設計
当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のショートパスフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。
用途例
- 蛍光顕微鏡
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蛍光顕微鏡で異なる蛍光色を分離するために使用されます。例えば、複数の蛍光色を同時に観察する際に、各蛍光体の発光波長を選択的に透過させることができます。
- 分光計及び分光光度計
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特定の波長の光を遮断し、残りの光を検出するのに使用されます。これにより、特定の波長帯域の光を分析できます。
- レーザアプリケーション
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レーザーシステムでは、特定の波長の光を通過させ、他の波長の光を遮断するためにショートパスフィルターが使用されます。これは、特定の波長のレーザー光を強調し、不要な波長を除去するのに役立ちます。
- イメージセンシング
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カメラやイメージセンサーにおいて、特定の波長範囲の光を透過させ、他の波長をカットすることが求められる場合に、ショートパスフィルターが使用されます。これにより、特定の波長の情報を強調できます。
660nmショートパスフィルターは、赤色〜近赤外光をシャープにカットしつつ、青・緑・黄の可視光を高透過率で活かすことにより、さまざまな光学システムの性能を根本から支えるキーデバイスです。安達新産業では、国内製造による高精度成膜技術と用途ごとのカスタム設計で、装置設計者・技術者の皆さまの要求に応じた最適解を提供しています。
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