問題解決

ダイクロイックフィルター

  • 入射角による波長シフトの影響をどう評価・補正したらいいでしょうか?
  • 蛍光色素や観察波長に合わせた精密なスペクトル設計をお願いできないか?
  • 限られたスペースにフィルターを配置する必要があり、サイズ・厚み・形状を相談したい。
  • ダイクロイックフィルターは高反射率で、装置内で多重反射を引き起こすリスクがある。
  • 必要なスペクトル特性を満たす標準品がない場合の設計依頼が難しい。
解決!「ダイクロイックフィルター」のチャート
※設計例であり、保障値ではありません。

匠のポイント

  • 光を「反射」と「透過」で分離する多層膜技術:ダイクロイックフィルターとは?

    ダイクロイックフィルター(Dichroic Filter)は、特定の波長の光を透過させ、他の波長の光を反射する光学フィルターです。特定波長の可視光を透過し、その補色を反射することによって、色分解および色合成を行います。吸収・散乱などの光損失が無いため、高効率の色分解・合成が可能で、カメラや分光器、レーザーアプリケーション、光学顕微鏡などの多くの光学機器で使用されています。

    ダイクロイックフィルターは、数十層にも及ぶ誘電体薄膜をガラス基板や石英基板上に交互に積層して作られます。各層の厚みは数十〜数百nm程度で設計され、光の入射角と波長に応じて干渉条件を最適化します。特定波長域の光は強く反射し、他の波長域は高透過させるといった精密な特性を実現しています。

    干渉の原理は、層と層の界面で反射した光が位相差によって強め合う(または打ち消し合う)ことに基づきます。これにより、例えば、広帯域な白色光から特定波長を取り出す、あるいは逆に除去することが可能になります。

  • ダイクロイックフィルターの特徴

    ①波長選択性:特定の波長帯域の光を透過し、他の波長を反射する特性があります。


      ※大阪真空工業HPより引用

    ②多波長操作:複数の波長帯域を同時に操作でき、異なる波長の光を同時に制御できます。
    ③光学機器での利用:カメラ、分光器、顕微鏡など、光学機器で広く使用されます。
    ④蛍光イメージング:生物学や医学の分野で蛍光イメージングに利用され、異なる波長の蛍光物質を同時に検出できます。
    ⑤効率向上:エネルギーの効率向上や特定の波長の光を制御することにより、光学デバイスの性能を向上させます。

  • ご要望の波長帯での設計・カスタマイズが可能

    安達新産業では、ご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。冒頭の特性チャートはRGB(赤・緑・青)の設計例ですが、それ以外の透過率も対応可能です。(※例えばシアン、マゼンダ、イエローなど)お気軽にお問い合わせください。また、基板の特性並びに、お客様の要望に合わせた設計を行います。

    ダイクロイックフィルターの性能を最大限に引き出すためには、基板材質や構造に応じた最適な成膜設計が欠かせません。当社では、ガラス・石英・サファイアなど多様な基板に対応し、それぞれの熱膨張係数や表面特性を考慮した薄膜設計を行っております。

  • 部品形状対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 万全の品質保証体制 

    成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。

  • 安全・安心な製品設計

    当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のダイクロイックフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。

用途例

光学機器、バイオ機器

1. カメラ 
異なる波長帯域を透過するフィルターが、RGB(赤、緑、青)フィルターとして配置され、カラー画像を生成するのに役立ちます。

2. 分光器
入射光を異なる波長帯域に分割するために、ダイクロイックフィルターが使用されます。このフィルター機能により、光のスペクトルを解析することが可能です。

3. 蛍光イメージング
バイオイメージングや医学の分野では、異なる波長の蛍光色素を同時に使用するためにダイクロイックフィルターが使われます。これにより、複数の蛍光信号を同時に検出し、
細胞や生体組織の特定の領域を観察できます。

4. 反射鏡、ビームスプリッター
特定の波長を反射し、他の波長を透過する特性を利用して、反射鏡やビームスプリッターとして使用されます。光学系内での光の分岐や操作に役立ちます。

その他用途

1. ヘッドアップディスプレイ(HUD)
自動車のヘッドアップディスプレイ(HUD)や、飛行機のパイロットのヘルメットビジョンにおいて、ダイクロイックフィルターが使用されています。これは、情報を表示する際に特定の波長の光を透過し周囲の景色を反射させることで、情報の重なりを最小限に抑える役割を果たします。

2. エンターテイメント
舞台照明やイベントライティングにおいて、特定の波長の光を強調するために使用されることがあります。異なる色相を生成し、視覚的な効果を高めることができます。

ダイクロイックフィルターは、誘電体多層膜による干渉効果を駆使し、反射と透過を自在に制御する高度な光学部品です。吸収型フィルターと比べて光の利用効率が高く、用途や波長に応じたカスタマイズが可能な点も大きな特長です。産業・医療・エンターテインメントなど、あらゆる分野で光を「選び」「分け」「操る」技術の核として、今後も重要性を増していくでしょう。

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