問題解決

匠の赤外線

AR(反射防止膜)

近赤外線反射防止(AR) 波長:1520〜1580nm

  • 設計中心波長だけでなく±30nm程度の広帯域で低反射を維持したい。
  • 実際の試作品で反射スペクトルが設計値と微妙に合わず、性能が基準に届かない
  • 出力制限を受けない赤外領域での光を使用したい。
  • 高出力レーザー(例:1550nm LiDARなど)に使用する場合、耐レーザー損傷性能が必要
  • 試作では性能が出ても、量産で膜厚バラツキや光学特性の安定度をどう担保するか不安。
解決!「近赤外線反射防止(AR) 波長:1520〜1580nm」のチャート
※設計例であり、保障値ではありません。

匠のポイント

  • 光を無駄なく伝える近赤外線反射防止(AR)コーティング

    近年、光通信・レーザー計測・LiDARなどの分野では、波長1520〜1580nm付近の近赤外線を利用する機器や光学部品が増えています。この波長帯は特に光ファイバ通信で多用される「Cバンド(1530〜1565nm)」と重なり、低損失伝送や高精度センシングの要として重要視されています。

    こうした用途で欠かせないのが、近赤外線領域に最適化された反射防止(Anti-Reflection:AR)コーティングです。ARコーティングは、光の反射を抑えて透過率を向上させることで、光学系の効率や信号品質を大きく改善します。

    光通信分野ではさらなる大容量化・低損失化が進み、1520〜1580nmのCバンド・Lバンドを活用した新しい光部品やシステムの需要が拡大しています。また、自動運転やドローン分野で1550nm帯LiDARの採用が増え、耐久性と信頼性の高いARコーティングのニーズが急速に高まっています。安達新産業では、こうした要求に応えるため、多層誘電体膜を用いた広帯域ARや低反射の両立、曲面・微細部品への均一成膜など、次世代ニーズにも柔軟に対応しています。

  • ご要望の波長帯での設計・カスタマイズが可能

    お客様のご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。透過域のみならず、阻止域での制御や入射角も重要な要素です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。

    1550nmの反射防止膜(AR)フィルターの性能を最大限に引き出すためには、基板材質や構造に応じた最適な成膜設計が欠かせません。当社では、ガラス・石英・サファイアなど多様な基板に対応し、それぞれの熱膨張係数や表面特性を考慮した薄膜設計を行っております。

  • 部品形状対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 万全の品質保証体制 

    成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。

  • 安全・安心な製品設計

    当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のバンドパスフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。

用途例

LiDAR / 高速レーザーセンシング

1550nm帯レーザー送受光系
高出力パルスレーザー光源とInGaAs/APDなどの受光素子間で用いる窓材、集光レンズ、ビームスプリッタにARコーティングを適用し、受光効率とS/N比を向上。
光学スキャナー・ミラー
走査系で使われるガルバノミラーやMEMSミラーにも近赤外専用AR膜を適用し、不要反射・フレアを低減。

産業用・医療用レーザー光学系

波長1550nm付近のアイセーフレーザー加工・計測装置
ビーム整形レンズ、保護窓、ビームダイバータなどに高耐久性AR膜を適用し、熱負荷や多重反射による損傷を抑制。

OCT(光干渉断層計)など医療機器
受光側のレンズ・カバーガラスに広帯域ARコーティングを施し、干渉信号のロスを抑制。

分光・波長可変光源・計測機器

分光器光学系
高分解能・高スループットを求められる波長可変レーザー光源、モノクロメータの入出射スリットや回折格子前後のレンズ面にAR膜を設計波長に合わせて最適化。

波長可変光源(Tunable Laser Source)
内部のエタロンや出力窓材に広帯域ARコーティングを施し、波長掃引時の透過変動を抑制。

検出器保護窓
InGaAsなど近赤外受光素子の保護用カバーガラスに専用AR膜を形成し、反射による信号ロスやゴーストを低減。

1520〜1580nm帯は光通信の基幹波長帯であり、LiDARや分光などでも高精度・高出力用途が集中しているため、設計波長だけでなく広帯域性、角度依存性、耐久性などを含めた高次元でのAR特性が要求されます。

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