問題解決

匠のミラー

金属ミラー

銀ミラー

  • 銀は硫化や酸化によって変色・反射率低下が起きやすく、保護膜の選定や膜構造設計に悩む。
  • 長期使用環境で反射率が低下しないか、湿度・温度変化に対する性能保証が必要。
  • 製品設計で必要になる入射角依存性(s偏光・p偏光の差)の詳細データが手に入りにくい。
  • 用途に合わせた基板(石英ガラス、低熱膨張ガラスなど)や大面積化が可能かどうか不安。
  • 高出力レーザーを使う場合、銀ミラーの損傷閾値やレーザー耐久性に不安がある。
解決!「銀ミラー」のチャート
※設計例であり、保障値ではありません。

匠のポイント

  • 可視光反射率 No.1!銀ミラーの実力に迫る

    銀ミラーは、可視光域(おおよそ400〜700nm)において非常に高い反射率を誇る金属ミラーです。特に、鏡面の輝きが柔らかく自然な色合いを保つため、高級光学機器やデザイン性を重視した建材などに広く使われています。しかし、銀は大気中の硫黄分などにより硫化しやすく、変色や性能低下を起こすことが課題でした。この問題を解決するため、表面に誘電体の保護膜をコーティングし、反射性能と耐久性を両立した製品が主流となっています。

    銀ミラーは、可視光域において非常に高い反射率を持つだけでなく、入射角による反射率の変動が小さいという特長も備えています。これは、銀の反射が金属特有の広帯域反射特性によるもので、特にs偏光・p偏光の差が少なく、さまざまな角度からの光を均一に反射できるため、光学装置や照明系などで非常に重宝されています。たとえば、レーザー光学系や分光器では、ビームがさまざまな角度でミラーに入射する場合がありますが、銀ミラーは入射角依存性が少ないため、設計の自由度が高まり、安定した性能を発揮します。

  • 部品対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 品質を支える測定と管理体制

    全品、出荷時に反射特性を示す測定チャートを添付していますので、安心してご使用いただけます。また、成膜から検査に至る全工程を、適切なクリーン度を保ったクリーンルーム内で実施。微小な膜欠陥や異物混入を防ぐ体制を徹底しています。

用途例と今後の展望

用途例

銀ミラーは、その卓越した可視光反射率と広帯域反射特性、さらに入射角依存性の少なさを活かし、以下のような高度な分野で活用されています。

天体望遠鏡や顕微鏡などの高性能光学装置で、高解像度かつ忠実な像形成を実現
レーザーシステムや分光器など、正確な光学経路制御を必要とする計測・分析装置
分光分析や分光光度計における基準ミラーや反射素子

今後の展望

近年は特に、AR/VRディスプレイや車載HUD(ヘッドアップディスプレイ)など、高精度・軽量・薄型化が求められる次世代デバイスでの利用が期待されています。さらに、銀ミラーの弱点である耐環境性を克服するため、多層誘電体保護膜やナノメタ構造を導入することで、反射率を維持しながら耐久性・波長特性を最適化する研究も進展中です。これにより、特定波長帯のみ高反射させる「選択反射型ミラー」や、光制御機能を持つスマートミラーなどへの応用も見込まれています。

近年では、軽量・高精度の反射素子が求められる場面でも銀ミラーの応用が期待されています。また、ナノ構造や多層膜技術を組み合わせることで、耐久性や波長選択性をさらに高めた次世代ミラーへの発展も注目されています。

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