問題解決

匠の紫外線

AR(反射防止膜)

紫外線反射防止膜(AR) 波長:350~410nm

  • 350〜410nmは帯域が約60nmと広く、単層膜ではカバーしきれず、反射率ムラや波長依存性が問題。
  • 紫外線域に特有の低吸収材を使いながら、可視光側への性能も両立させる設計が難しい。
  • 実際の装置では斜入射になることも多く、角度による反射率変動を抑える必要がある。
  • 多層構造の場合、膜厚や材料特性のバラツキが透過率に直結し、品質管理が難しい。
  • 高性能広帯域AR膜は高コストになりやすく、装置全体のコスト設計と調整が課題になる。
解決!「紫外線反射防止膜(AR) 波長:350~410nm」のチャート
※設計例であり、保障値ではありません。

匠のポイント

  • 優れた紫外線透過性

    350〜410nmは、紫外線のUV-A領域から可視光の境界までをカバーする重要な波長帯です。紫外硬化(UVキュアリング)、検査用照明、紫外分析装置、LED光源などでよく使われ、光学部品に対する反射防止膜(ARコーティング)の性能が、装置の光効率・画質・精度に直結します。この波長域のAR膜は、単純な単層膜では特定の波長しか低反射化できないため、多層膜設計が主流となります。しかし多層化すると、膜厚や材料の屈折率のバラツキが性能に大きく影響するため、設計・製造の難易度が高くなります。

    さらに紫外領域では、膜材料そのものが紫外線を吸収しやすい傾向があるため、低吸収・高耐久性の材料を選定し、光学特性を緻密に制御する必要があります。350〜410nm帯では、紫外側(350nm付近)で高い透過率を保ちつつ、400nmを超える可視光側の反射率も低く抑える設計が重要です。加えて、光学系では光が斜めに入射することが多く、斜入射条件下での反射率を最小化するために、膜構造の対称性や材料配置を工夫します。紫外線による膜材の変質・クラック・剥離を防ぐために、イオンアシスト蒸着で膜密度を高め、膜応力を最適化して基材との密着性を強化します。こうした技術を総合的に駆使して、広帯域かつ高耐久性を備えたAR膜を実現し、紫外〜可視境界域における反射率を最小化することが求められています。

  • ご要望の波長帯での設計・カスタマイズが可能

    お客様のご要望の波長領域やご利用予定の光源(高圧水銀ランプや各種レーザ光、UVLED等)に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。特に紫外線反射防止膜(AR)フィルターの性能を最大限に引き出すためには、基板材質や構造に応じた最適な成膜設計が欠かせません。当社では、ガラス・石英・サファイアなど多様な基板に対応し、それぞれの熱膨張係数や表面特性を考慮した薄膜設計を行っております。

  • 部品形状対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 万全の品質保証体制 

    成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。

  • 安全・安心な製品設計

    当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計の紫外線反射防止膜に関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。

用途例と今後の展望

用途例

🟩UV硬化装置・露光装置
350〜410nmのUV-A光を効率的に利用し、反射損失を低減して照射強度を確保。

🟩検査・計測用光学機器
紫外照明系でのゴースト・フレア低減、S/N比向上、正確な測定データの取得に貢献。

🟩LED光源用レンズ・カバーガラス
365nm・385nm・405nmなどUV-LEDの出力を最大限透過し、反射による光量損失を防止。

🟩紫外顕微鏡・イメージング
反射による迷光を低減し、高解像度・高コントラストな画像を得るため。

🟩紫外線分析・分光機器
試料への照射効率を上げ、微弱光計測や蛍光検出の感度を向上。

今後の展望

✅より広帯域・広角対応設計
350〜410nmに加え、可視光側や紫外側もカバーするワイドバンドAR膜の開発。

✅高耐久・長寿命化
紫外線照射による膜材の変質・剥離を抑え、メンテナンスフリー化を実現。

✅UV-LED対応高性能膜
高出力・高密度UV-LEDの普及に伴い、熱・光エネルギーに強い新材料の採用。

✅省エネ・低環境負荷プロセス
低温成膜や無溶剤プロセスによる環境負荷低減への取り組み。

こうした技術革新により、紫外線領域の光学設計がより自由になり、装置の高性能化・小型化・高効率化がさらに進展すると期待されています。

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