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偏光ビームスプリッターと無偏光ビームスプリッターの違いを徹底解説!

今さら聞きにくい「ビームスプリッタ」とは?

光学実験や光学機器でよく耳にする「ビームスプリッター」。しかし、「偏光」という言葉が入ると、一体何が違うのかと疑問に思う方も多いのではないでしょうか?今回は、光学実験でよく使用される「偏光ビームスプリッター」と「無偏光ビームスプリッター」の違いについて、わかりやすく解説していきます。

【1】ビームスプリッターとは?

そもそもビームスプリッターとは、入射した光を2つに分ける光学素子のことです。あたかも鏡のように一部の光を反射し、残りの光を透過させます。

偏光ビームスプリッター

偏光ビームスプリッターは、入射光の偏光状態によって光の振る舞いを変える特別なビームスプリッターです。

特徴

入射光がs偏光(電場ベクトルが入射面に対して垂直な成分)の場合、主に反射されます。入射光がp偏光(電場ベクトルが入射面に対して平行な成分)の場合、主に透過します。つまり、偏光状態によって、反射光と透過光の強度が大きく変化します。

仕組み

特殊な多層膜コーティングが施されており、光の波長と偏光状態に応じて反射率と透過率が変化します。

用途

レーザー光学系、偏光計測、干渉計、イメージングシステム

無偏光ビームスプリッター

無偏光ビームスプリッターは、入射光の偏光状態に関係なく、一定の割合で光を分割します。

特徴

入射光の偏光状態に関わらず、常に一定の割合で光を反射と透過させます。偏光ビームスプリッターに比べて、構造がシンプルです。

仕組み

通常のビームスプリッターと同じように、部分的に金属膜や誘電体膜を蒸着することで、反射率と透過率を調整します。

用途

干渉計、光学顕微鏡

【2】偏光ビームスプリッターと無偏光ビームスプリッターの違いを比較

偏光ビームスプリッターと無偏光ビームスプリッターは、入射光を分割するという点では共通していますが、
偏光状態に対する反応が大きく異なります。

  偏光ビームスプリッター 無偏光ビームスプリッター
偏光状態との関係 偏光状態によって
反射率と透過率が変化
偏光状態に関係なく、
一定の割合で分割
構造 特殊な多層膜コーティング 金属膜や誘電体膜
用途 レーザー光学系、偏光計測など 干渉計、光学顕微鏡など
  • 偏光ビームスプリッター: 偏光状態によって光の振る舞いを制御したい場合に利用します。
  • 無偏光ビームスプリッター: 偏光状態を気にせずに、一定の割合で光を分割したい場合に利用します。

どちらのビームスプリッターを選ぶかは、実験の目的や使用する光源の偏光状態によって異なります。今回は、偏光ビームスプリッターと無偏光ビームスプリッターの違いについて解説しました。光学実験を行う際は、それぞれの特性を理解し、適切なビームスプリッターを選択することが重要です。もし、より詳しい情報が必要な場合は、お気軽にご質問ください。