匠の赤外線

AR(反射防止膜)
赤外線透過樹脂(東亞合成:アロニックスシート)への反射防止コーティング
- 樹脂特有の熱・ガス発生による成膜不良が心配。
- 赤外線波長帯に最適化したAR膜設計の知見が不足している。
- 自動車や屋外用途などでの温度変化・湿度・紫外線に対する信頼性確保が重要。
- 赤外線領域の透過率や反射率の測定環境を持っていない。
- AR膜の耐久性・耐擦傷性・環境耐性への不安(そもそもアクリルに密着する?)
解決!「赤外線透過樹脂(東亞合成:アロニックスシート)への反射防止コーティング」のチャート

匠のポイント
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なぜ「アロニックスシート」に反射防止膜が必要なのか?
赤外線センサーやLiDAR、医療機器、IoTデバイスなど、赤外線を活用した先進技術は年々市場を広げています。東亞合成株式会社の「アロニックスシート」は、赤外線透過性と軽量性・加工性を兼ね備えた高機能樹脂シートとして注目されており、自動車や医療、ロボティクスなど幅広い分野での採用が進んでいます。こうした高機能樹脂シートをさらに高性能化し、製品の競争力を高めるために、安達新産業では「アロニックスシートへの反射防止膜(ARコート)」を提案しています。
樹脂製の赤外線透過窓材は、可視光や赤外線の反射ロスによって、センサーの感度低下やノイズの原因になることがあります。特にLiDARや近赤外線カメラ、医療用非接触温度計などの用途では、微弱な赤外線信号をできるだけロスなく通すことが重要です。アロニックスシートに反射防止膜をコーティングすることで
🟦赤外線の透過率をさらに向上
🟦表面反射を抑制して感度・検出精度を向上
🟦ゴーストやフレアの低減による画質・信号品質の改善といった効果が得られ、最終製品の性能を一段階引き上げることが可能です。安達新産業では、「反射を減らすだけで終わらない」──材料と光学性能を融合した新しい価値を提案し、次世代センシング技術や製品開発を支援してまいります。※赤外線とは?
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東亞合成「アロニックスシート」とは?
東亞合成株式会社が開発した「アロニックスシート」は、独自の高分子設計により実現した高機能性樹脂シートです。優れた耐熱性や寸法安定性、電気絶縁性を兼ね備え、電子部品や光学分野など、幅広い用途で利用されています。アロニックスシートの大きな特徴のひとつが、「赤外線透過性」です。特に近赤外領域(800〜2500nm)において高い透過率を持つため、以下のような用途に最適です。
🟨IRセンサーや赤外線カメラの窓材
🟨非接触型温度計の光学部材
🟨LiDAR(ライダー)用途における赤外線用カバー
🟨赤外線通信装置の保護パネル樹脂系材料としては非常に優秀であり、ガラスや結晶材料に比べて軽量かつ加工性が高いというメリットを併せ持っています。アロニックスシートの赤外線透過性は、東亞合成の高分子化学技術とシート化技術によって実現しています。樹脂内部の吸収や散乱を抑えつつ、赤外領域での透過率を高めるための配合技術や当社の成膜プロセスが活用されています。これにより、可視光では半透明〜不透明でも、赤外線は高効率で透過させるという特性を得ています。
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標準在庫品で開発をサポート
反射防止機能は光学および赤外線アプリケーションにおいて重要であり、信号の精度向上、画像品質向上、環境への影響軽減、エネルギー節約、安全性向上などの多くの利点をもたらします。ゆえに反射防止機能を備えた材料やコーティングが使用されます。安達新産業ではご検討中のお客様に向け、すぐに評価可能な標準在庫フィルターをご用意しています。試作・検証期間の短縮、スピーディーな製品立ち上げにぜひご活用ください。
ARコート基板イメージ
※注意事項
ARコーティングについては、耐久性試験(密着性、耐久性試験後の光学特性等)が必須です。お客様のご使用条件により耐久性の試験結果は異なって参りますので、ご利用時には必ず耐久性試験を実施願います。 -
部品形状対応も可能
基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。
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万全の品質保証体制
成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。赤外領域の分光特性測定が可能なFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を完備。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。
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安全安心な製品設計
当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計の反射防止膜(AR)に関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。
用途例
近年、赤外線を活用するセンシング技術やデバイス市場は、産業構造の変化やDXの進展を背景に大きく拡大しています。東亞合成の「アロニックスシート」は、樹脂材料でありながら高い赤外線透過性を実現し、軽量・高耐久性・加工性という特長を持つことから、次のような分野で特に有望視されています。
- 画像、センシング用途
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🏭熱画像技術
熱画像カメラは物体や環境の温度を非接触で計測し、赤外線を検出し温度分布の可視化を行います。建築、電力、医療、軍事などの分野で広く使用されており、樹脂材料はカメラのレンズや窓として赤外線を透過させる役割を果たします。🏭赤外線センシング
赤外線透過性の樹脂は、赤外線センサーや検出器の外部ケーシングや窓として使用されます。モーション検知、温度計測、ガス検出、距離測定などのアプリケーションで使用され、赤外線の透過性がセンシングの精度に寄与します。🏭赤外線リモコン
テレビ、エアコン、オーディオ機器などのリモコンは、赤外線LEDから送信される信号を樹脂の窓を通じて検出装置に送り、機器を制御します。🏭セキュリティシステム
赤外線センサーやカメラを通じて、監視エリア内の動きや異常を検出し、警報を発するために赤外線を利用します。🧪医療機器
非接触温度測定機器や医療用赤外線センサー、ウェアラブルデバイスなど、医療・ヘルスケア機器にも赤外線技術は欠かせません。軽量かつ柔軟に設計できるアロニックスシートは、デザイン性や装着性も重視される医療機器の外装材・カバー材としての活用が見込まれています。 - 自動車機器用途
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🚚ヘッドアップディスプレイ(HUD)
運転手に情報をダッシュボード上のウィンドシールドに投影する技術です。ウィンドシールドには反射防止コーティングが施され、日中でも夜間でも情報が鮮明に表示され、運転手の視界を確保します。🚚ドライバーアシストシステム
自動車には、車線維持支援、衝突回避警告、駐車支援などのドライバーアシストシステムが組み込まれています。カメラやセンサーが使用され、光学部品には反射防止コーティングが施されており、適切な情報を収集できるようになっています。🚚バックカメラ
駐車時やバック操作時に後方の視界を提供します。バックカメラのレンズには反射を防ぐためのコーティングが施され、映像の明瞭さを維持します。🚚自動運転車両
多くのセンサーとカメラを使用して周囲の状況を監視し、運転を制御します。反射防止技術は、センサーおよびカメラの性能を最適化や信頼性を向上させます。🚚リアビューミラー
一部の自動車では、従来のリアビューミラーがデジタルカメラに置き換えられています。デジタル画像を提供し、反射防止コーティングによって明瞭な視界を提供します。
これらの分野で共通して重要視されるのは、軽量化、省スペース化、デザイン性の向上です。従来のガラスやセラミックスに代わり、アロニックスシートのような高機能樹脂材料を活用することで、製品開発における設計自由度を高め、コスト削減や新規市場開拓を支援できます。また、今後は「自動運転レベルの高度化に伴うセンサー需要の増大」「ウェアラブルデバイスやメタバース関連機器など新規分野の拡大」「環境対応やリサイクル素材との組み合わせによるサステナブル提案」といった方向でも、アロニックスシートの活用範囲はさらに広がると予想されます。