ショートパスフィルター 波長:800nm
- 不要波長をしっかり遮断しつつ、必要波長はできるだけ高透過率を確保したい。
- 設計上、斜入射光でも性能が変わらないフィルターを求めている。
- 高温多湿など厳しい環境下での耐久性( 長期信頼性を考慮した膜設計や品質が必要)。
- 反射防止膜やバンドパスフィルターなどとの複合設計の相談もしたい。
- 装置やモジュールへの組込みしやすさ→ サイズ・形状など、カスタマイズ対応を相談したい。
解決!「ショートパスフィルター 波長:800nm」のチャート

匠のポイント
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800nmで切り分ける光の品質:産業・医療を支えるショートパス技術
ショートパスフィルターは、特定の波長(カットオン波長)を境に、それより短波長側の光を高い透過率で通し、長波長側の光を反射または吸収する特性を持つ光学フィルターです。特に800nmを境にした光学系で活躍しており、可視光領域〜近赤外の一部(およそ400〜800nm)を効率的に透過させながら、それより長い800nm超の近赤外光や赤外光を急峻にカットする仕様です。
このフィルターの基本構造は、多層の誘電体薄膜で構成されています。複数の屈折率の異なる誘電体材料を数十層にわたり精密に積層することで、干渉効果(多層膜干渉)を利用し、特定波長に対して理想的な反射・透過特性を発現させます。具体的には、透過させたい波長帯では光の干渉が強め合うように設計し、反射させたい波長帯では干渉で打ち消し合うようにすることで、波長ごとに望む光学特性を実現しています。
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急峻なエッジフィルター(特徴のまとめ)
✅急峻なカット特性
→ 800nm付近での急激な透過率変化により、不要な近赤外光を効果的に遮断しつつ、必要な可視光は最大限に活かすことが可能です。✅高透過率
→ 可視光域(特に550nm付近など)では90%以上の透過率を確保する設計も可能で、カメラ・センサーなどでの高感度化に貢献します。✅角度依存性の低減
→ 多層膜設計時に入射角依存を最小化する工夫を行い、広視野角用途にも適応可能。装置内部で斜め入射する光でも安定した特性を維持します。このように、ショートパスフィルターは単なる「波長でカットする部品」という位置付けにとどまらず、光学系の性能を左右するキーパーツとして進化しています。特に800nmタイプは、人間の目に見える可視光を活かしつつ、カメラやセンサーに影響を与える近赤外光を効果的に排除できるため、産業・医療・映像分野など幅広い用途で利用が拡大しています。
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標準在庫品で開発をサポート
ご検討中のお客様に向け、すぐに評価可能な標準在庫フィルターをご用意しています。試作・検証期間の短縮、スピーディーな製品立ち上げにぜひご活用ください。
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基板に最適化した設計
お客様のご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。透過域のみならず、阻止域での制御や入射角も重要な要素です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。
ショートパスフィルターの性能を最大限に引き出すためには、基板材質や構造に応じた最適な成膜設計が欠かせません。当社では、ガラス・石英・サファイアなど多様な基板に対応し、それぞれの熱膨張係数や表面特性を考慮した薄膜設計を行っております。
- 角度依存に対する注意点※バンドパスフィルターのケースですがご参考まで
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部品形状対応も可能
基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。
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万全の品質保証体制
成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。赤外領域の分光特性測定が可能なFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を完備。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。
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安全・安心な製品設計
当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のショートパスフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。
用途例
- ✅センシング・検査装置
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可視光のみを選択的に透過させ、近赤外光を効率的に遮断することで、カメラやセンサーによる高精度な検出・撮像を可能にします。近赤外成分によるフレアやゴースト、誤検知を防ぐ効果があります。
- ✅マシンビジョン
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近赤外光の影響を受けやすい高感度カメラにおいて、感度を可視光域に限定することで、画像処理時のノイズや誤認識を大幅に低減し、安定した検査品質を実現します。
- ✅医療・ライフサイエンス分野
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顕微鏡や観察装置などで、観察対象を正確に捉えるために赤外光を除去。測定精度の向上や、患者・試料への不要な赤外線曝露の抑制を実現します。
- ✅光学通信・精密計測
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信号処理系から800nm以上の不要な波長成分を取り除くことで、受光素子や光学系に入るノイズを低減し、信号品質・計測精度を向上させます。
近年、センシング技術やカメラモジュールの小型化・高性能化が進む中で、ショートパスフィルターへの要求も多様化しています。特に、自動運転車のドライバーモニタリングカメラや、産業用ロボットの高精度検査装置など、可視光領域のみを検出対象としつつも近赤外光を強力にカットするニーズが増加しています。さらに、光学系の高集積化に伴い、角度依存性の低減や熱安定性の高いフィルターの開発が進んでおり、より広視野角・高信頼性を両立した製品への期待も高まっています。
関連製品
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ショートパスフィルター 波長:650nm 匠のポイント:急峻な光学変化対応
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偏光ビームスプリッター 匠のポイント:吸収が少なく、高効率に光を分解
用途:顕微鏡、干渉計、分光測定機 -
UV-IRカットフィルター 匠のポイント:急峻なエッジと、確実なUV・IRカット性能の実現
用途:カメラ、FAセンサ、各種計測機器等 -
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用途:スマートフォン、FAセンサ等 -
可視光バンドパスフィルター 波長:660nm 匠のポイント:40年の実績と、設計の柔軟性
用途:FAセンサ、医療機器等 -
マルチバンドパスフィルター(デュアルバンドパスフィルター) 匠のポイント:二波長帯を透過するバンドパスフィルター
用途:監視カメラ、ドアホン等