問題解決

匠の赤外線

BPF(バンドパスフィルター)

近赤外バンドパスフィルター 波長:860nm

  • 近赤外域の特定波長(860nm)だけをしっかり透過したい
  • 背景光や太陽光など不要な光がセンサーに入り込むと誤動作の原因になるので困る。
  • 装置やレンズ設計の都合で、フィルターに光が斜めから入射するケースがあるが対応可能?
  • 赤外LEDやレーザーなど使う光源に合わせた最適化が必要
  • セーフティ機器や産業用途向けの信頼性が気になる。安全に関わる機器では、「高温多湿下でも特性が変わらないか」「長期間同じ性能を保てるか」などの課題が多い。
解決!「近赤外バンドパスフィルター 波長:860nm」のチャート
※設計例であり、保障値ではありません。

匠のポイント

  • 「見えない世界をもっとクリアに」―860nmバンドパスフィルターが支える最先端センシング

    私たちの生活の中で、目には見えない光「近赤外線(NIR)」が活躍していることをご存じでしょうか?ドアの顔認証スマートフォンの虹彩認証、製造現場の画像検査や医療・ヘルスケア分野など――さまざまな機器やシステムの裏側で、860nmという特定の波長帯の光が重要な役割を果たしています。しかし、単に赤外線を照射するだけでは、外乱光や不要な波長によるノイズが入り、正しい検出や高精度の計測はできません。そこで活躍するのが、特定波長の光だけを選んで通す860nmバンドパスフィルターです。

    当社の860nmバンドパスフィルターは、多層の誘電体膜を高精度に成膜することで、光の干渉効果を利用し、特定波長域のみを選択的に透過させることが可能です。様々な機器の用途におけるニーズに応えるべく、シャープな波長分離性能と高い透過率を両立しています。

    また、遮断帯域は450〜800nmおよび910〜1100nmと広範囲にわたり、不要な波長の光を確実にブロック。これにより、センサーの誤検出リスクを低減し、信号の純度を高めることが可能です。光損失も極めて少なく、光路長が長い複雑な光学系においても、入力光の質を損なわず、鮮明なデータ取得が実現できます。赤外線センシングの精度を支え、私たちの暮らしをもっと便利に、もっと安全にしている小さな光学部品の世界を、一緒にのぞいてみませんか?

  • 基板に最適化した設計

    お客様のご要望の波長領域に合わせた設計・成膜(コーティング)が可能です。透過域のみならず、阻止域での制御や入射角も重要な要素です。基板の特性並びにお客様の要望に合わせた設計を行いますので、お問い合わせ時に、基板種や波長帯をお伝え下さい。

    860nmフィルターの性能を最大限に引き出すためには、基板材質や構造に応じた最適な成膜設計が欠かせません。当社では、ガラス・石英・サファイアなど多様な基板に対応し、それぞれの熱膨張係数や表面特性を考慮した薄膜設計を行っております。

  • 部品形状対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 万全の品質保証体制 

    成膜から検査・梱包まで、すべての工程を必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内で実施。膜中異物や微少欠陥への対策も万全です。赤外領域の分光特性測定が可能なFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を完備。すべての製品に対し、分光特性チャートを添付して出荷いたしますので、安心してご利用いただけます。

  • 安全・安心な製品設計

    当社では、人体や環境に有害な物質は一切使用しておりません。安全性にも配慮した製品設計を徹底しております。カスタム設計のバンドパスフィルターに関するご相談は、ぜひ安達新産業へ。長年の経験と実績を活かし、最適なソリューションをご提案いたします。※バンドパスフィルターの選びかたガイドを見る

用途例

バイオメトリクス(顔認証・虹彩認証など)

スマートフォンやドアロック、ATMなどで使われる顔認証・虹彩認証システムでは、860nm前後の赤外LEDやレーザーを照射し、反射光や透過光をカメラで受けます。周囲の可視光や他の波長の赤外光を遮断し、必要な860nmの光だけをカメラに届けることで、認証精度を上げます。

マシンビジョン・画像検査

製造ラインの異物検出・表面検査・印刷検査などで、860nmの光を照射して撮影します。背景光や蛍光灯など不要な光をバンドパスフィルターでカットし、検査対象物のコントラストを高めることができます。

環境・農業センシング

農作物の水分量・糖度・病害検査などで、近赤外光を使ったセンシング装置に組み込まれます。860nmは葉や果実の反射率や透過率に特徴があり、そのデータを利用して生育状態を評価します。

セーフティ機器・人感検知

工場の安全装置や自動ドアなど、人やモノの存在を検知する赤外センサーの一部に使われます。フィルターで特定波長の赤外光のみを選ぶことで、外乱光の影響を抑え、誤作動を減らせます。

医療・ヘルスケア分野

皮膚や組織の中まで到達する近赤外光の特性を活かし、血流や酸素濃度、組織の状態を非侵襲的に測定する装置で使われます。センサーが860nmの光だけを受けることで、精度を向上させています。

関連ページ