問題解決

匠の紫外線

紫外線反射防止膜(AR)

紫外線用反射防止膜(ARコート)による光利用効率の向上

近年、紫外線光源を用いた機器やシステムの開発・実用化が進み、私たちの生活や産業の中でその存在感はますます高まっています。特に新型コロナウイルス感染拡大を契機に、UV-C波長帯(100〜280nm)を用いた殺菌・除菌用途の製品が急増しました。

 

しかし、紫外線の利用はそれだけにとどまりません。現在では、微細加工(フォトリソグラフィー・レーザーパターニング) 分析・測定機器(蛍光分析・分光光度計など)、光硬化・UVインク・光重合反応などの製造プロセス、生体観察・DNA/RNA研究などのライフサイエンス用途のような分野でも紫外線が積極的に活用されています。このように、紫外線の用途は広がり続けていますが、それに伴い「紫外線を無駄なく、効率よく利用したい」というニーズも急速に高まっています。

 

紫外線の透過は、なぜ難しいのか?

一般的に、紫外線は波長が短いため、光学材料での吸収・散乱・反射の影響を受けやすく、可視光に比べて「透過させることが難しい」領域とされています。特にUV-Cのような深紫外域では、ガラスやプラスチック素材が光を吸収しやすく、さらに表面での反射損失も無視できません。これにより、必要な紫外線量が得られない、測定精度が落ちる、エネルギー効率が下がるといった課題が生じます。

 

こうした課題に対応するために重要なのが、「反射防止膜(Anti-Reflection Coating)」の存在です。ARコートは、光の干渉を利用して表面反射を抑制し、透過率を向上させるための光学薄膜です。紫外線光がレンズやウィンドウなどの光学部品を通過する際に、できるだけ損失を少なくするために欠かせない技術です。安達新産業では、このARコート技術を紫外線領域にまで拡張し、UV-C・UV-B・UV-Aの各波長帯に対応した反射防止膜の製造を実現しています。

優れた紫外線透過特性を実感してください。

  • 反射防止=優れた透過性能

    多層膜の干渉効果を利用した光学フィルターにより、基板表裏面による光の反射を防止します。可視光での実績に基づき、紫外線の波長帯域においても、成膜時の制御を行うことで高い透過率を実現できます。但し、紫外域を透過できる=成膜可能な基板(石英など)が限定されますので、事前に確認が必要となります。ご利用される基板の特性を利用し、設計を行う事で最適なフィルターを実現致します。

  • ご要望の波長帯での設計・カスタマイズが可能

    お客様ご指定の波長帯に合わせた個別設計・最適成膜(コーティング)が可能です。基板の特性に応じた最適な光学設計をご提案いたしますので、波長帯・基板種別をお知らせのうえ、お気軽にご相談ください。

  • 部品対応も可能

    基板調達から成膜までの一貫対応に加え、ご要望の形状へのカット・部品化にも対応可能です。形状指定の場合は、詳細図面のご提供をお願いしております。

  • 万全の品質保証

    成膜から洗浄、検査、保管まで、すべての工程をクリーンルーム内で管理しています。微小な異物や膜欠陥への対応も万全です。また、分光光度計による分光測定を実施し、出荷時には分光特性チャートを必ず添付しております。

想定される応用用途は?

測定器

分光光度計、原子吸光光度計、半導体膜厚測定装置、共焦点顕微鏡、DNAシーケンス、フローサイトメトリー、紫外線異物検知

医療

抗ウイルス・除菌用紫外線照射装置、眼球の研磨・矯正、血管の血栓除去、皮膚表面のシミ取り

微細加工

リフトオフ装置(半導体露光用)、表面改質、親水化処理処理(濡れ性向上)、レーザ加工装置(液晶パネルのアニーリング工程)、インクジェット式プリンター、ウェーハ洗浄、UV硬化装置(光学部品等の接着、液晶パネル周辺の接着)

殺菌処理

医療用、飲食用、オゾン発生効果

ご提案ラインナップ

最適な光学特性や、加工方法をご提案いたします