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光学薄膜-基礎中の基礎を解説します。

今さら聞きにくい「光学薄膜とは?」

光学薄膜とは?

光学薄膜とは光の性質を利用し、特定の波長範囲の光を反射させるあるいは透過させる薄膜の総称です。目的や性能によって単層あるいは多層の成膜と異なった成膜方法となります。

多層膜の場合、屈折率の異なる無機誘電体薄膜材料の光干渉膜を光学ガラスや樹脂などの基板に積層し、所望の光学特性となるように設計・成膜します。設計方法によって、特定の波長だけの通過させる、強度を調整する、光を分離させる、光路を変えるなど、応用例は多岐にわたります。

光学薄膜の歴史

光学薄膜は、主にレンズ向けの反射防止膜や照明用ミラーなどで技術開発が進みました。また、半導体レーザーなどの様々なレーザー開発に伴い、反射率が高く、高耐久のミラー開発が要望されました。同時に成膜装置の開発が進み、蒸着・スパッタ技術等が応用され、各種の光学膜の成膜が可能となりました。

1980年代にはCDが全盛となり、光ピックアップにて光学機器と電気機器が融合された商品が開発され、1990年代後半では、薄膜が100層以上の光通信用のフィルターが開発され、キーパーツとして利用されるようになり、さらなる進化を遂げました。

近年の動向について

近年では、スマートフォン用の顔認証用のセンサーや,主に車での採用が予想される距離計測用のLiDAR(Light Detection and Ranging),あるいは、生体認証などのウェアラブルデバイスにも
光学薄膜が活用され、先端分野の光学系に利用されています。光学薄膜はオプトエレクトロニクスの発展に不可欠な技術要素であり、近年の技術変化は目覚ましいものがあります。

安達新産業株式会社 光学薄膜の特徴

【1】高い透過率、反射率を実現

光の干渉を利用していますので、光の散乱や吸収による損失を極めて低く抑えることができ、その結果、透過域において高い透過率、反射域において高い反射率を得ることが可能です。

【2】製品の安定性

無機誘電体材料を使用しているため、永年にわたって質的変化がありません。また、有機系溶剤に対して安定です。各種アシスト機構を用いて緻密な成膜が可能ですので、経時的な波長シフトはもちろん、煮沸試験・耐熱試験や各種環境試験においても波長のシフトは認められません。(シフト量:1nm以下)

【3】各種基板への成膜

光学薄膜を形成する基材(基板)は、一般的に光学ガラスを用いますが、当社は低温での成膜に豊富な経験・生産実績を持ち、各種プラスチック基板や、各種レジスト・UV硬化樹脂塗布基板などへの成膜にも対応いたしております。

【4】作業環境について

膜の設計から製作、検査、出荷まで蒸着装置、超音波洗浄機、分光光度計、電子顕微鏡等最新鋭の装置を駆使してお客様のあらゆるご要望におこたえできる万全の体制を敷いています。また、作業環境は成膜から検査までそれぞれ必要なクリーン度を維持したクリーンルーム内作業となっており、微少膜欠陥(膜中異物等)に対しても万全の体制をとっております。

【5】製品としてトータルにカバー

当社では単に成膜に限定せず、付随する形状加工から、ご要望の仕様に応じ光学薄膜の設計から成膜プロセス、製品形状加工までトータルに対応させていただいております。

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