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近赤外バンドパスフィルターの最前線-標準在庫品の徹底解説

660〜940nmの光が拓く次世代センシング市場

近年、自動運転・産業ロボット・スマートフォン・医療機器・セキュリティシステムなど、幅広い分野で近赤外センシング技術の採用が急速に拡大しています。車載LiDARやTOFセンサによる空間認識、顔認証・生体計測を担うウェアラブルデバイス、さらには光を使った非侵襲医療といった用途が次々と実用化・普及段階を迎え、これらを支える光学部品への需要は年々高まる一方です。なかでも特定の波長だけを選択的に透過させる「バンドパスフィルター」は、センサの精度と信頼性を左右するキーコンポーネントとして、開発現場での重要性が増しています。安達新産業株式会社では、こうした多様なニーズに応えるべく、660nmから940nmにわたる近赤外バンドパスフィルターの標準在庫品を取り揃えています。各波長が対応する用途・市場トレンドとあわせて、当社製品の特徴をご紹介します。

1章|なぜ今、赤〜近赤外バンドパスフィルターが注目されているのか

1-1. 成長を牽引する3大トレンド

① 自動化・スマートモビリティの加速

自動運転車やAGV(無人搬送車)、OHT(天井走行搬送機)などの産業ロボットには、空間認識のための精密なセンシング技術が不可欠です。LiDAR(光検出・測距)やTOF(Time of Flight)センサの普及は急速に進んでおり、これらに使用される近赤外バンドパスフィルターの需要も連動して拡大しています。

② IoT・スマートホームの普及

IoTデバイスはスマートメーター、モーションセンサー、ヘルストラッキングデバイスなど多岐にわたります。スマートホーム市場は2025年時点で500億ドルを超える規模に達しており、セキュリティカメラや環境センサーなどの機器でも赤外線フィルターが重要な役割を担っています。IoTの拡大とともに、これらデバイスに搭載される赤外線フィルターの需要はさらに増加すると見込まれています。

③ 医療・ヘルスケアのデジタル化

ウェアラブルデバイスによる非侵襲的な生体情報計測(血中酸素・脈拍・血糖値など)や、医療用イメージング・光線治療への応用が急速に広がっています。これらの分野では、特定の生体吸収波長に精密に合わせたバンドパスフィルターが必須技術となっています。

このような市場環境の中、安達新産業株式会社では可視光から近赤外域のバンドパスフィルターについて豊富な製造実績を積み重ね、現在は中赤外〜遠赤外域への対応波長拡大にも積極的に取り組んでいます。特に標準在庫品ラインナップを拡充することで、お客様の開発スピードへの貢献を重視しています。

第2章|バンドパスフィルターの基本と「近赤外」の特性

2-1. バンドパスフィルターの概要

特定の波長帯域(バンド)の光のみを選択的に透過させ、それ以外の波長を遮断する光学フィルターです。用途に応じて必要な波長だけを取り込むことで、センサや撮像系の精度・信頼性を大きく向上させます。詳細はこちらのページをご覧ください。

  • 中心波長(CWL:Center Wavelength):透過帯の中心となる波長。用途に合わせた設計が必要
  • 半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum):透過率が最大値の50%になる波長幅。狭いほど選択性が高い
  • 透過率(T%):フィルター通過後の光量比。高いほど信号強度が確保できる

2-2. 誘電体多層膜コーティングによる高精度化

安達新産業のバンドパスフィルターは、誘電体多層膜(薄膜干渉)を基板上に精密成膜することで製造されています。この技術により以下の特性を実現しています。

  • 急峻なエッジ特性:透過帯と遮断帯の境界が急峻で、不要な波長の光が混入しにくい
  • 高透過率:通したい波長の光量ロスを最小限に抑制
  • 広い阻止域:ノイズとなる帯域を幅広く遮断(例:905nm品は450〜840nm、960〜1200nmを遮断)
  • 単一基板構造:メンテナンスが容易で、過酷な環境での使用にも対応
  • クリーンルーム製造:成膜から検査まで必要なクリーン度を維持した作業環境

2-3. 近赤外光の特性と産業利用のポイント

近赤外線(NIR:Near Infrared)は、可視光よりも長波長側に位置する電磁波の領域です。以下の特性が産業・医療・セキュリティ分野での活用を支えています。

  • 人の目には見えない:照明や認証に使用しても視認されにくく、非接触・非侵襲での利用に適する
  • 生体透過性:皮膚・組織への浸透深度が可視光より深く、生体計測や光治療に有効
  • シリコンフォトダイオードとの相性:主要なイメージセンサやPD(フォトダイオード)が感度を持つ波長帯と合致
  • 大気透過性:特定の大気吸収窓を利用したリモートセンシングや通信が可能

【技術ポイント】

近赤外バンドパスフィルターは、使用するセンサや光源(LED・レーザー)の波長特性、入射角の範囲、環境条件(温度・湿度)に合わせた設計最適化が重要です。安達新産業では、用途に応じたカスタム設計にも対応しています。

第3章|波長別ユースケース詳解|660〜940nmの役割と市場動向

安達新産業の標準在庫品は660nm、783nm、830nm、855nm、905nm、940nmの6つの中心波長をカバーしています。それぞれの波長がどのような用途・産業に対応しているかを詳解します。

3-1. 660nm|医療・ライフサイエンスの中核波長

660nm付近の赤色光は、ヘモグロビンやフラビンタンパクなどの生体内クロモフォア(光吸収物質)に強く吸収される特性を持ちます。血小板活性化、サイトカイン放出、血管新生シグナルへの影響が科学的に記録されており、生体医療分野の研究応用において重要な波長です。

主な用途分野(当社想定)
  • 蛍光顕微鏡:生物学・生命科学の研究で蛍光染料と組み合わせた細胞・組織観察
  • フォトバイオモジュレーション(光生体調節):歯周組織の再生促進、皮膚科・美容医療での光照射療法
  • パルスオキシメーター:血中酸素飽和度(SpO2)の非侵襲計測(赤色光と近赤外光の組合せで使用)
  • フローサイトメトリー:細胞計数・分類における蛍光検出

3-2. 783nm|ブレインテック・神経イメージングの新興波長

783nmは主にfNIRS(機能的近赤外分光法)において使用される代表的な波長の一つです。fNIRSは脳表面近傍の血中ヘモグロビン変化を光学的に計測し、脳機能を非侵襲的にモニタリングする技術で、MRI装置が使えない環境(屋外・運動中など)でも利用できる点から注目を集めています。

主な用途分野(当社想定)
  • fNIRS(機能的近赤外分光法):脳の空間的注意機能の解析、認知課題中の脳活動計測
  • マルチスペクトルイメージング:複数の波長帯を用いた組織・物質の分光識別
  • 神経科学研究:スポーツ科学・リハビリ・BCIデバイスへの応用

3-3. 830nm|非侵襲センシング・医療診断の基幹波長

830nmは近赤外分光(NIRS)の代表的な波長であり、生体組織の深部まで光が到達しやすい特性を持ちます。ミトコンドリア内のシトクロムc酸化酵素と相互作用し、細胞の代謝活性や再生・修復プロセスへの促進効果が知られています。

主な用途(当社想定)
  • fNIRS(機能的近赤外分光法):脳・筋肉の酸素飽和度モニタリング
  • 光音響イメージング:皮膚・血管構造の非侵襲的可視化
  • フォトバイオモジュレーション(光生体調節):線維芽細胞増殖促進・創傷治癒・コラーゲン生成
  • 産業用センサ:材料検査・食品品質管理における近赤外分光分析

3-4. 855nm|顔認証・セキュリティシステムの主力波長

855nmは顔認証システムや近赤外照明装置において広く採用されている波長です。人の目に見えない近赤外光を照明として使用することで、被写体に気づかれることなく安定したイメージングが可能になります。

主な用途分野(当社想定)
  • 顔認証カメラ:屋外・暗所での顔認証システム、入退室管理
  • 近赤外照明:可視光に影響を与えない監視カメラ・セキュリティ照明
  • AI顔認識:決済端末・スマートロックなどのバイオメトリクス認証
  • 産業用検査カメラ:ラインスキャンカメラでの表面検査

3-5. 905nm|車載LiDAR・産業自動化の標準波長

905nmは車載LiDARおよびTOF(Time of Flight)センサに採用される最も代表的な波長のひとつです。急峻なエッジ特性と高透過率を両立した905nmバンドパスフィルターは、自動運転・スマート物流の中核技術を支えています。

主な用途分野(当社想定)
  • 車載LiDAR:歩行者・障害物検知、3次元空間マッピング
  • TOFセンサ:距離計測・デプス画像取得
  • AGV(無人搬送車)・OHT(天井走行搬送機):工場・倉庫内の自動搬送
  • 産業用光電センサ:製造ラインでの位置検知・カウンティング

【技術仕様ポイント|905nm】

安達新産業の905nmバンドパスフィルターは、阻止域を450〜840nmおよび960〜1200nmの広い帯域で確保し、ノイズとなる外光を効果的に遮断します。光の損失を極めて小さく抑えているため、光路長の長い複雑な光学系においても入射光を損なわず、鮮明な検出信号が得られます。

3-6. 940nm|生体認証・スマートデバイスの成長波長

940nmは顔認証や指紋認証、スマートフォンの3Dセンシングなど、コンシューマデバイスへの搭載が急速に進む波長です。また、植物の水分吸収特性を利用した農業用センシングや、通信機器への応用も広がっています。

主な用途分野(当社想定)
  • スマートフォン・タブレット:3D顔認証(FaceID類似技術)・近接センサ
  • 生体認証端末:ATM・ゲート・スマートロックの顔認証
  • IoTセンサ:人感センサ・モーション検知・ジェスチャー認識
  • 農業・環境センシング:近赤外分光を用いた水分・成分分析
  • 通信機器:近赤外LEDを使用したデータ通信・リモコン

【市場トレンド|940nm】

940nmはスマートフォンメーカー各社が採用を進めており、市場規模の急成長が続いています。安達新産業の940nmバンドパスフィルターは、阻止域を400〜880nmおよび1020〜1200nmの広い帯域で確保。近赤外LEDやレーザー光源との組み合わせにより、センサの検出精度を最大限に引き出します。

第4章|標準在庫品のご紹介|すぐ使える6波長ラインナップ

安達新産業では、開発期間の短縮・早期の試作検証を支援するため、近赤外バンドパスフィルターの標準在庫品を常時取り揃えています。

4-1. 標準在庫品が選ばれる理由

  • リードタイム短縮:カスタム品の製造を待たずに即時入手可能、開発サイクルを加速
  • 試作・検証用途に最適:設計検討段階での光学性能確認に活用できる
  • コスト効率:標準仕様のため、少量での試用が可能
  • 品質保証:全品出荷時に測定チャートを添付。クリーンルーム環境での製造・検査

4-2. 標準在庫品 波長ラインナップ

中心波長

主な対象用途

特徴・強み

660nm

蛍光顕微鏡・光線治療・パルスオキシメーター

高透過率・生体応用実績豊富

783nm

fNIRS・マルチスペクトル撮像

脳機能計測に対応した精密設計

830nm

fNIRS・生体組織イメージング

深部組織対応・高い透過特性

855nm

顔認証・監視カメラ・近赤外照明

外光ノイズ遮断・セキュリティ対応

905nm

車載LiDAR・TOFセンサ・AGV/OHT

急峻なエッジ・広い阻止域

940nm

顔認証・スマートフォン・IoTセンサ

低ノイズ・スマートデバイス対応

※ 標準在庫品の仕様詳細・在庫状況については、お問い合わせフォームまたは各製品ページよりご確認ください。

4-3. 対応可能な基板・サイズについて

標準在庫品の基板材質・外径サイズについては、各商品ページにてご確認ください。尚、出荷時には全品に測定チャートを添付しており、光学性能の確認が容易です。また、基板調達から成膜、任意形状へのカット・部品化まで一貫した対応が可能です。

第5章|カスタム設計にも対応|お客様専用の最適フィルターを

標準在庫品での検証を経て、最終製品には専用スペックのカスタムフィルターが求められるケースも多くあります。安達新産業ではお客様の仕様・用途に合わせたオーダーメイド設計に対応しています。

5-1. カスタム設計で対応可能な項目

  • 中心波長(CWL):300〜1200nm帯を中心に、紫外~中赤外〜遠赤外域も対応拡大中
  • 半値幅(FWHM):狭帯域から広帯域まで、用途に応じた透過帯幅の設定
  • 遮断率・阻止域:ノイズとなる波長帯域と必要な阻止域の設定
  • 入射角対応:センサ開口角に応じた入射角依存性の補正設計
  • 基板材質:ガラス・石英・シリコンなど用途に応じた基板の選定
  • 外形サイズ・形状:円形・角形・特殊形状など、取付仕様に合わせたカット

5-2. 「標準品で試して、カスタムで仕上げる」2段階アプローチ

開発初期段階では標準在庫品を活用して光学性能・フィット感を素早く検証し、量産・製品化フェーズで最終スペックに合わせたカスタム品へ移行する2段階アプローチをお勧めしています。このアプローチにより、開発リスクの低減と量産品の品質最適化を両立できます。

【対応フロー】

① 標準在庫品でサンプル評価 → ② 仕様の確定・すり合わせ → ③ カスタム設計・試作 → ④ 量産
※ ご検討期間の短縮や早期立ち上げの検証用として、標準在庫品をお気軽にご活用ください

5-3. 波長域の拡大展開

現在、安達新産業では紫外から赤外線領域(中赤外〜遠赤外)における新たなアプリケーションを見据え、対応波長域を積極的に拡大しています。ガス分析・環境モニタリング・FLIRなど、今後ますます需要が見込まれる赤外線用途に向けた製品開発にも注力しています。新波長への対応についてはお問い合わせください。

まとめ|近赤外バンドパスフィルターが拓く未来

本記事では、安達新産業の標準在庫品ラインナップである660〜940nmの近赤外バンドパスフィルターについて、市場トレンドと各波長のユースケースを詳しくご紹介しました。

★キーポイントの振り返り

  • 市場成長性:世界の赤外線フィルター市場はCAGR約8%で成長。自動運転・IoT・医療ヘルスケアが主要牽引力
  • 660nm:医療・ライフサイエンス(フォトバイオモジュレーション・蛍光顕微鏡・パルスオキシメーター)
  • 783nm・830nm:fNIRS・生体イメージング(脳機能計測・ウェアラブル医療機器)
  • 855nm:セキュリティ・AI顔認証(監視カメラ・入退室管理・スマート決済)
  • 905nm:自動化・モビリティ(車載LiDAR・TOFセンサ・AGV/OHT)
  • 940nm:スマートデバイス・IoT(3D顔認証・モーションセンサ・近赤外通信)

★安達新産業株式会社の強み

  • 紫外~可視光〜近赤外域の豊富な製造実績と高度な成膜技術
  • 誘電体多層膜による急峻なエッジ特性・高透過率・低ノイズを実現
  • 標準在庫品で開発リードタイムを大幅短縮
  • 中心波長・半値幅・阻止域・入射角・基板サイズを含む自由度の高いカスタム設計
  • クリーンルーム製造・全品測定チャート添付による品質保証

【お問い合わせ・ご相談はこちら】

バンドパスフィルターのご検討・サンプルのご依頼・カスタム設計のご相談は、安達新産業株式会社へお気軽にどうぞお問い合わせください。